RSS

創業50年の伝統に裏づけられた経験

小坂武商店は東京大田区の「大森」という下町でお茶屋を営んでおります。大森は昭和初期まで海苔漁業が盛んで、海苔の小売店・卸問屋が多い地域でもあります。社名の「小坂武」は祖父の名。祖父は人当たりがよく、お正月にみんなで集まった際も小唄を歌って場を盛り上げてくれる人間味あふれる人でした。父曰く「誠実に生きなさい」が口癖だったそうです。

会社設立間もない頃はお茶や海苔を扱ってほしいと、小さな酒屋さんを中心に卸売営業することから始めました。50年経った今でも祖父からの付き合いのあるお店が2件ほど残っています。

酒屋さんでお茶を購入することは現代の流れでは考えられませんが、そこの酒屋の常連さんは小坂園のお茶でないと口に合わないそうです。50年経った今も小坂園のお茶を求めてくれる人がいるという事実が本当にありがたい。最終的に祖父の卸売りの商売は失敗に終わったそうです。ですが、高度成長を向かえ、第二幕の父の小売業で少しづつ挽回していきました。

 

創業から30年余り、馴染みの酒屋さんから誘いを受け、「大森町市場」という場所でちっちゃなお店を構えました。そこは体格のいい父が縮こまり、お客さんが2人入れば満員御礼。店内にはお茶・海苔・しいたけ・昆布など、所狭しに飾られた記憶が思い出されます。

その市場には、魚屋さん・八百屋さん・肉屋さん・薬屋さん・おでん屋さん・洋菓子屋さん・酒屋さんが一体となり活気に溢れていました。

今で言うショッピングモール(商業施設)ではなく、人のつながりそのものでした。店の前を通るごとに、それぞれの店主さんが声をかけ元気を与えてくれました。物が少なかった時代は、物々交換じゃないけど、みんなで助け合う意識を持って生活していました。大森町商店街にはその感覚が今でも残っています。

もちろん、モノを買うのにお金が対価になるのは当然で会社として運営できません。ですが、昔ながらの商人はそれだけじゃないんです。人が困っているから、うちの商品で何か役に立つことがあれば使ってねって・・そういった感覚が私に染み付いているのは、この市場で働いていた皆さんが声をかけてくれたおかげだと感謝しています。


商業高校・・今ではめっきり聞かなくなり「商人」という言葉が忘れ去られていますが、父はお茶屋というより商人・あきんどです。

例えば、お年寄りのお客さんが割りばし売っていますか?と来店すれば、迷わず、どこかで取り寄せてきます。せっかく小坂園に来店してくれたのだから、その人のために何か役に立つことをする・・それが父が考える商人なんだと思います。それが父の仕事なんだと思います。

私は商売仕立ての若い頃、父の商売方法が理解できず、喧嘩ばかりしていました。しかし、あるお客さんの電話を受けたことをきっかけに意識が変わりました。

「お茶屋さん、はんぺん5個買ってきて」 って

お茶屋なのだから、お客さんのために良質な茶葉やそれに合わせた茶器を仕入れる。お茶の知識を深めることがお客さんのためになると信じて努力した何年かあります。もちろんプロ意識も重要ですが、小さいお店にお客さんが求めることはそれだけありません・・お年寄りの活力になってあげること・買い物できない方に配達してあげること・地域の交番代わりになること・若い人に小売店で買い物する場を残してあげること。

言葉で表すのは難しいですが、モノ売りじゃないんです。買い物するというコミュニケーションが人と人のつながりを深めます。本当に必要とされれば、人間は心の底から「ありがとうございました!」と思うのです。その人のために何をしてあげられるのか?お客様に本当に感謝されるには自分はどうすればよいのか?感謝されるには自分が人を感謝しなければなりません。当たり前のことですが、意識しなければ態度に出るはずもないのです。

そのことを言葉ではなく、態度で教えてくれた、父に感謝しています。まだまだ、足元にも及びませんが、父のように心の広い人間になれるように精進いたします。一生懸命・誠心誠意、一度っきりの人生悔いの残らないよう生きてまります。

<歴史>

昭和28年:茶・海苔の御問屋 有限会社小坂武商店設立
昭和47年:小売部設立
平成02年:現住所に小売部移転
平成13年:Webショップ「小坂園」設立

これからも末永く見守っていただければ幸いです。


当社は、ユニセフツールバーを当社PCに導入しています。

ユニセフの活動詳細はこちらをご覧ください。