三代目小坂園
トップページ»  茶の豆知識»  お茶の歴史

 お茶の木の発祥説は色々ありますが、一般に中国から入ってきたと言われています。江戸時代の書物には、729年に宮廷でお茶が飲まれていたことが示されており、このことから奈良時代には日本に伝わっていたと推測されます。

とはいっても、お茶は当初から貴重品で、宮廷人や京の貴族など限られた人しか飲めませんでした。それを庶民の飲み物になるきっかけを作ったのは、鎌倉時代の臨済宗の栄西といわれています。

栄西は禅宗を学ぶために中国の宋へ渡り、数多くの経典とともに茶の種子(飲み方など)を持ち帰りました。栄西が日本でチャの樹を植えたとされるのが、九州の平戸です。

その後、栄西から明恵上人という僧にお茶の種子が受け継がれました。彼はその種子を京都の梶尾の地に播きました。これが日本第一の茶といわれる梶尾の茶の始まりです。ただし、この頃のお茶は今の抹茶に近いものです。煎茶の登場は室町時代で、江戸時代に入って一般庶民の口にも入るようになりました。

 ◆お茶は最初、薬でした。

漢方医学の祖で中国古代の伝説的神である神農が野山を駆け抜け、薬効となる草木を探しているうちに茶を見つけ飲んだというのが茶の歴史の始まりとされています。つまり中国では茶は最初薬として飲まれていたのです。特に解毒用として使われていました。

日本の場合、僧栄西によって茶が広まったとされていますが、栄西もその著書「喫茶養生記」の中で「茶は養生の仙薬なり」と記しています。仙薬とは色々な成分が入っていて、それが相乗作用して効果をあげるもののことで、栄西は「薬は1つの病気にだけ効くもの、茶はいくつもの病気・万病に効く、あるいは予防するもの」の観点で茶の効能を説いています。その後、茶は滑稽品として定着しますが、近年に入ると再び健康として注目を集め、医学の分野でも効果が期待されるまでになったのです。

■参考文献:茶・ダイジェスト