父は商業高校出身。今ではめっきり聞かなくなりましたが、商人・あきんどです。例えば、お年寄りのお客さんが割りばしは売ってます?と来店すれば、近くの店で取り寄せます。せっかく小坂園に来てくれたのだから、その人のために役立つことをする。それが父の考える商人です。
私は商売仕立ての頃、その商売方法が理解できず、喧嘩ばかりしていました。しかし、あるお客さんの電話を受けたことをきっかけに意識が変わりました。
「お茶屋さん、はんぺん買ってきて」
お茶屋なのだから、良質な茶葉を仕入れる。お茶の知識を深めることがお客さんのためになると努力した何年かございます。もちろん専門知識は重要ですが、小さなお店にお客さんが求めることはそんなことじゃありません。お年寄りの活力になってあげる・買い物できない方に配達してあげる・地域の交番代わりになる・小売店で買い物する場を残してあげる、言葉で表すのは難しいですが、モノ売りじゃないんです。買い物をする対話なんだと思います。
それを実践するにはどうすればいいのか。お客様に感謝されるにはどうすればいいのか。感謝されるには、まず自分が人を感謝しなければならない。当たり前ですが、意識しなければ態度に出るはずもない。そのことを言葉ではなく、態度で教えてくれたのは父です。まだまだ足元にも及びませんが、父のように心の広い人間になれるよう精進いたします。
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